イジワルな彼とネガティブ彼女
二人とも黙々と食べて、会話はしなかった。


隣に座ってるのに、ものすごい距離を感じた。


なんで、こんな風になっちゃったんだろう。


食べ終わると、楓さんは伝票をつかんで席を立った。


私もあわてて、後を追った。


楓さんが二人分払おうとしてたから、


「払います」


って言ったら、


「まとめて払った方が、店員さん楽だろ。


あとでもらうから」


あっさり断られた。


おごってもらえるって勘違いしてしまった自分が、恥ずかしかった。


お店の外に出ると、すぐに美和と足立くんが出てきた。


美和たちはさすがに、私たちの間に漂う不穏な空気に気づいたらしく、世間話をしながら男女別に分かれて歩き出した。


午後イチで部長に、直近の木曜と月曜で展示会の代休届を提出した。


これで楓さんに会わなくてすむ。


残ってる有休も、月木で使っちゃおうかな。


今はとにかく、楓さんと距離をおきたかった。



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