イジワルな彼とネガティブ彼女
楓さん、結婚したいって思ってる人がいるんだ。


っていうか、楓さんが結婚を考えてるなんて、想像もしてなかった。


まあ、結婚してもおかしくない年齢だし。


それなら、私とはもう終わってるってことだよね。


これが、自然消滅っていうんだ。


手を洗いながら、涙がポタポタ手に落ちた。


私、なんで泣いてるんだろう。


鏡をのぞくと、目が赤い私がうつっていた。


涙をふいてトイレから出たら、楓さんもトイレから出てきたところだった。


「どうしたんだよ」


「なんでもありません」


「・・・泣いてんのか」


「ちがいます、えっと、その・・・花粉症です」


「莉子、俺ずっと待ってんだけど」


「行きません、とお返事しましたよね」


楓さんは私を見下ろして、なにか言いたそうな顔だったけど、結局何も言わずに立ち去った。





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