イジワルな彼とネガティブ彼女
どうして、『待ってる』なんて言うの?


結婚したい人がいるんだから、私になんか構わないでほしいのに。


その日は久しぶりに楓さんと話したっていうのもあって、なかなか仕事がはかどらず。


過去の資料を引っ張り出して、悩みながら新商品のポスターを考えていた。


「高橋さん?」


突然肩をたたかれながら名前を呼ばれて、ビクッとしながら振り向くと、足立くんが笑っていた。


「すみません、何度か呼んだんですが」


「あっごめんね、なんかあった?」


「ちょっと、仕事の相談があって。


後ほど、お時間いただけませんか?」


「えっ、仕事のことなら部長の方がいいんじゃ・・・あっ、部長は出張だっけ」


「はい、ちょっと急ぎの案件なので」


「いいよ、会議室の方がいい?」


「はい、じゃあおさえてきます」


急ぎの案件なんて、あったっけ。


でも最近、私は物忘れが激しくて、危うくミスしそうになるとフォローしてもらうことばかりだったから、きっと何かあるんだろう。






< 212 / 235 >

この作品をシェア

pagetop