イジワルな彼とネガティブ彼女
私、なんにも気づかなかった。


楓さんの気持ちにも、足立くんの優しさにも。


ダメな女だな、私って。


「ごめんなさい」


「なにが?」


「楓さんに、素直な気持ちを伝えればよかった」


「今ごろ気づいたのかよ」


楓さんは、いつのまにか私の目の前に立っていて、私を見下ろしている。


「どんどん悪いこと想像してた」


「これからは、我慢したり無理したりすんなよ」


「はい」


優しく抱きしめられ、楓さんの腕につつまれた。


「・・・だいすき」


消えそうな声でつぶやいた私に、楓さんはそっとキスしてくれた。


「この続きは、俺んちでな」


私たちの後ろのテーブルには、足立くんが残した封筒があった。


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