イジワルな彼とネガティブ彼女
楓さんについて行くと、有名ブランドのジュエリーショップに入った。


「楓さん?」


誕生日でもないし、クリスマスでもないのに。


私の呼びかけに歩くのをやめた楓さんは、私を赤い顔で見下ろしながら、


「結婚指輪、選ぶぞ」


ぶっきらぼうにつぶやいた。


「でもここ、ケタが違うよ」


「一生に一度のもんだから、いいんだよ」


二人で悩み、何度も試して、二人とも選んだのが同じだったのが嬉しかった。



駅前のスーパーに寄って、二人でメニューを考えながら買い物して楓さんちに帰った。


並んでキッチンに立って、楓さんの手伝いをしていると、新婚気分を味わっているようだった。


カルパッチョとパスタとワインを堪能して、後片づけも済ませ、ソファーでくつろいでた時。


「莉子、ここで一緒に住むか?」


唐突なお誘いに、固まってしまった。


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