イジワルな彼とネガティブ彼女
本田さんって、言うことは当たってるんだけど、いちいちイラッとさせる名人だ。


「ライバルだなんて思っていませんので、失礼します」


「待てよ、ちょっとつきあえよ」


「なんですか?」


「いいから、すぐすむから」


本田さんは一瞬で、私の手を握って引っ張った。


私は反射的に、その手を払おうとしたけど、力が強くてほどけない。


「離してください」


「離したら逃げるだろ」


「ちゃんと説明してくれるんでしたら、逃げません」


「俺の友達の歯医者が、すぐそばで開業してるんだよ。


高橋のこと話したら、友達価格でやってくれるってさ」


「本田さんのお世話にはなりたくありません」


「そんなこと言っていいのか?


高橋が聞いてる金額の半分にはなるぞ」


半額か・・・確かに嬉しすぎる提案だ。


でも、本田さんに借りを作りたくないし。


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