イジワルな彼とネガティブ彼女
「おまえって、ほんとおもしれーな」


「そんなことないと思いますけど」


「どーせ、俺のことチャラチャラした軽い男だと思ってたんだろ。


誤解がとけて何よりだな」


橋を渡りきり、なぜかUターンして、いま走りきったばかりの橋にもう一度入ってゆく。


「どうせ戻るんだし、もう一回渡ろーぜ」


そう言ってハンドルを握る横顔は、少年のように本気で楽しそうだった。


この橋の話題にふれたとき、思い出すのは本田さんの横顔や、本田さんとドライブしたことになるんだな。


漠然とした気持ちをもてあそびながら、自宅まで送ってもらった。


「ありがとうございました」


「じゃあまたな、おやすみ」


「これ、お金です」


差し出した封筒には目もくれず、


「お金はいいから、それで彼氏と旅行にでも行けよ」


本田さんは頑として受け取ろうとしなかった。


「そんな、困ります」


「いいから」


そんな押し問答を繰り返してたけど、


「じゃあさ、俺とクリスマス過ごしてくれるなら、受け取る」


・・・は?


なんでここでクリスマス?


「俺にクリスマスプレゼント買えばいいだろ、じゃあな」


あっけにとられた私は、完全に思考回路がストップしてしまい、操り人形のように車から降りた。





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