夜界の王



中央のアーチ型になった門扉に近づいていくと、なぜか柵の門はひとりでに開いた。

アーシャは思わず周りを見たが、誰の姿も見られない。一体どんな仕掛けなのか全く見当がつかなかった。


屋敷の左右は森に囲まれているが、その中に光る何かが複数あるように見え、アーシャは目を凝らした。


(あれは、明かり…? じゃない、獣の目だわ…!)


2つのギラギラ光る眼がそこらじゅうに浮かび上がっており、アーシャと男の動きを注意深く目で追っていた。

数えきれない量だ。あれが一気に攻め込んできたりしたらひとたまりもない…。


「奴らは俺の屋敷の中までは入ってこない。心配するな」


アーシャの怯えを察した男がそう言った。


「で、でも、すごい数がいる…」

「凶暴性の強いものは少ない。たとえ襲われても、俺がいる限り何も問題はない」


アーシャはあっけにとられて男を見あげた。


(そんなにきっぱり言い切れるなんて、すごい自信…)


怯えた様子もないし、こんな場所に住んでいるくらいだから、獣との戦いなど取るに足らない問題なのだろうか。



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