秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~



部屋の中では、ソファに向かい合うようにしてバルテル公爵とエリーゼが座り、エリーゼの背もたれの後ろにヴィリーが立ち、クラウスは落ち着かなさげに室内を歩き回っていた。


「ギュンター、ようやく戻ってきたな」


どうやら場つなぎに相当苦労していたようだ。クラウスは明らかにほっとした様子で、バルテル公爵とエリーゼは不機嫌そうににらみ合っている。


「お待たせしました」

「ギュンター様。コルネリアは? コルネリアは無事なの?」


開口一番それを聞いたエリーゼに、ギュンターは心からの笑みを向ける。


「コルネリアも同じようにあなたを心配していましたよ。頬に傷を負っているので今手当てをしてもらっています。その他にケガはないようです。手当てが終わればここに来るように言ってあります」

「呼ばなくていい、あの盗人の娘など!」

「まあお父様、伯爵様に対して失礼ですわよ」


バルテル公爵は目をギラギラさせている。
対してエリーゼは優雅な調子を崩さない。ある意味とても浮世離れしているともいえる。

ギュンターはため息をつき、公爵から対角の位置にあたるところで止まった。


「お静かに。今回の話は立場を考え内密に済ませたほうがいいとは思いますが、俺も今回はいささか怒髪天を衝いております。ここにいる人間にだけははっきりさせましょう。今回のエリーゼ嬢誘拐の犯人はバルテル公爵様、あなたです」


みんなの視線が公爵を向く。
公爵は顔を赤らめて、「エリーゼは私の娘だぞ? 何のためにっ」とまくし立てた。


「そうですね。娘さんを連れ去ったのですから、誘拐というのは語弊がありますね。正しくは、誘拐騒ぎに仕立てあげたのは公爵様です」

「何を証拠に」

「叔父様、黙ってください。まずはギュンターの話を聞きましょう」

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