秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~

運命論を語るクラウスを、ギュンターは胡散臭そうに見つめる。
しかし、反抗しても無駄なこともまたわかっていた。
この第二王子は、自分の楽しみにかけては譲るということを知らない。


「一体いつからそんな企画を立ててたんだ」

「それは内緒。でも君の結婚相手には興味あるからね。俺の従妹殿を射止めるのか、はたまたほかの女性か。仮面舞踏会で運命を決めようじゃないか」


まるで寸劇のように大きなアクションでギュンターに仮面を差し出す。
それを受け取り、顔に当てる。
耳にひっかける仕様になっているのだが、まるであつらえたようにぴったりだった。

まあここでお遊びをしたところで、縁談相手が変わるわけではない。
恋などするはずがないのだ。運命診断したところで、何が変わるわけでもない。


「いいだろう。その余興、付きあってやるよ」


口元に笑みを浮かべたギュンターを見て、普段からそばについているルッツが一番驚いた。

ギュンター=ベルンシュタインという男は、冷静で理知的、挑発になど乗ることのないような落ち着いた男なのだ。
さすがは王子殿下……と訳のわからないところでルッツはクラウスを尊敬した。

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