秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
*
その夜、コルネリアは湯上り後のギュンターをバルコニーへと誘った。
ルッツは「先に部屋に戻っておりますね」と珍しく率先して気を利かせ、今はふたりきりだ。
コルネリアは、締め付けの緩い水色のドレスを着ている。首と腕を覆うように薄布を巻いているのは、肌荒れ対策だ。
まだ体を火照らせているギュンターはシャツも腕まくりしていて、いつもとは違い野性的にみえる。
ドキドキする心を隠しつつ、コルネリアは彼を見上げた。
「あなたに見せたいものがあるの」
「なんだい?」
「今日は月がきれいでよかった。あれよ、見て」
コルネリアの指さす先は海だ。
夜の闇に沈む海の表面に、もう一つの月がある。水面に移った月は、波の動きに合わせて形を変えながら、海の奥へあたたかな光を送っていた。
「私が一番好きな景色なの。灼熱の太陽よりも、月明かりのほうが優しくて好きなんです」
そう言えば、ギュンターは穏やかに微笑む。
「それは一番の褒め言葉だな」
どこをどう受け取れば褒め言葉になるのかはわからなかったが、それを尋ねることはできなかった。
問いかけた唇は、ギュンターによって優しく塞がれたからだ。
月明かりが、一足早く二人を祝福してくれたようだった。
【Fin.】
その夜、コルネリアは湯上り後のギュンターをバルコニーへと誘った。
ルッツは「先に部屋に戻っておりますね」と珍しく率先して気を利かせ、今はふたりきりだ。
コルネリアは、締め付けの緩い水色のドレスを着ている。首と腕を覆うように薄布を巻いているのは、肌荒れ対策だ。
まだ体を火照らせているギュンターはシャツも腕まくりしていて、いつもとは違い野性的にみえる。
ドキドキする心を隠しつつ、コルネリアは彼を見上げた。
「あなたに見せたいものがあるの」
「なんだい?」
「今日は月がきれいでよかった。あれよ、見て」
コルネリアの指さす先は海だ。
夜の闇に沈む海の表面に、もう一つの月がある。水面に移った月は、波の動きに合わせて形を変えながら、海の奥へあたたかな光を送っていた。
「私が一番好きな景色なの。灼熱の太陽よりも、月明かりのほうが優しくて好きなんです」
そう言えば、ギュンターは穏やかに微笑む。
「それは一番の褒め言葉だな」
どこをどう受け取れば褒め言葉になるのかはわからなかったが、それを尋ねることはできなかった。
問いかけた唇は、ギュンターによって優しく塞がれたからだ。
月明かりが、一足早く二人を祝福してくれたようだった。
【Fin.】


