秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
そのあと、このままでは肌荒れがひどくなるからと、コルネリアは一度ギュンターと離れ、湯あみをした。
再び身支度を整えて晩餐の席に着いた時には、ベレ伯爵はご機嫌に顔を赤くしていたし、弟妹はなぜか拗ねたようにそっぽを向いていて、夫人を困らせていた。
「遅いぞ、コルネリア」
「申し訳ありません。でもお父様、もう出来上がっていますの?」
「気分がいいからな。さあ無礼講だ。ギュンター殿も従者殿もたくさん食べてくだされ」
「ええ。海の食材は珍しく楽しませていただいていますよ」
豪快な伯爵にも、ギュンターは常の笑顔で対応する。
「あなたたちはどうして拗ねているの?」
コルネリアは席について弟妹に目をやる。夫人が、眉をひそめて顔の前で手を振った。
「放っておいていいわ。この子たち、あなたが結婚すると知って拗ねているのよ。ギュンター様にも最初はうるさいくらい話しかけに言っていたのに、結婚の話が出たとたんこれだもの」
「……そうなの?」
コルネリアにとっては意外だった。嫌われてはいないと思っていたが、ふたりはふたりだけで街に出て遊ぶことのほうが多かったし、特に好かれているとは思っていなかったのだ。
「コルネリアはみんなに愛されているね」
優しい微笑みとともに言われたギュンターの声は、おなかのあたりに素直に落ちた。
「そうね。……知らなかった。嬉しいわ」
今までと同じ街、同じ家族。
自分一人なら見えていなかったものが、彼のおかげで見えるようになった。
「私、自分が思ってたよりずっと、幸せだったんだわ」