秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~


コルネリアが犯人であるはずがない。
それでも、執拗に責め立てる公爵から守るために、一室に籠らせたのだ。

疑ってはいないと伝えたとき、うるんだ瞳で頷いていたではないか。
なのに、なぜ部屋を脱出しようとした?

もしくは、それすらも公爵の狂言だろうか。
コルネリアを犯人に仕立てるために……?


ギュンターはまず、コルネリアを閉じ込めていた一室へと入った。

天蓋付きのベッドは使われた形跡はなく、変化があるとすれば、先ほど侍女を通じて贈った白薔薇がきちんと一輪挿しに生けられていることくらいだ。


「……コルネリア」


白薔薇のような人だ、と思った。
一見、大人しそうだが、凛としていて頑固。たくさんの花とともに飾れば埋もれてしまうような地味な美しさだが、一輪で飾ったとき、その美しさと存在感はこんなにも際立つ。

いつかクラウスが薔薇園を散歩しながら、恋しい人には赤の薔薇を贈るといいと花言葉をいろいろ教えてくれたことがある。“愛情”、“熱烈な恋”。そんな直情的な赤薔薇の花言葉は、何か違う気がしていた。

白薔薇の花言葉は“純潔”、“心からの尊敬”。

尊敬に値する人だと思う。
自らが疑われても、ひたむきにエリーゼを守ろうとするさまは、何色にも染まらない白だ。


妻に求める要件は、家柄、慎ましやかさ、家庭を切り盛りできる能力と落ち着き。
でもそれだけじゃ恋にはならない。

あの母に負けないくらい頑固で、時にはこの自分さえも驚かせてくれる。
恋をするなら、そんな人がいい。

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