空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
ヒュー……ドン、ドン、ドン。



目の前の空で打ち上がった花火の音が、その声をかき消した。


七色の、鮮やかな花火。


「……何でも、ない」


そう言うと、昴はそっと顔を横に向けた。


ねえ、昴。


今、何て言おうとしたの?


何て、言ってくれようとしたの?


聞きたいよ。


聞かせてよ。


昴の口から出る、その言葉の続きが。


「……なんか、こんな勢いで言うのもあれだな」


昴が首を振った。


「……ちゃんと、今度、言う。こんな中途半端な感じじゃなくて、ちゃんと自分のタイミングで、自分の意思で決めて。だから、待っててくれ」


「あ……」


私の肩に両手を置いて、真っ直ぐに目を見つめながら言う。


辺りには、花火の火薬と、うっすらと昴の香りが漂っていた。



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