空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
梨沙のことを好きだと意識し始めたのがいつなのかは、もうハッキリとは覚えていない。


ただ気付けば心の真ん中に梨沙はいし、あいつのことを目で追うようになっていた。


や、違うな。


もしかしたら、初めて会った時から、何か感じるものがあったのかもしれない。


だから本当だったら涼以外にはだれも入らせないはず屋上に来るのも歓迎できたし、〝すばる〟の話もしてしまった。


それは梨沙の、人好きのする温かい雰囲気もあったのかもしれないけど。


とにかく……俺は、気付いたら梨沙のことが好きになっていた。


だからこそ、今のあいつを少しでも励ましてやりたかった。


力になってやりたかった。


屋上で梨沙を誘ってから三日後。


梨沙の誕生日の、二日前。


だから俺は……電車に乗って、一人で大晴山に向かった。


このことは、涼にも話していない。


何ていうか、少し気恥ずかしかったのと、やっぱり梨沙に関することは自分一人で何とかしたいっていう気持ちが強かった。


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