命短き、花初恋。
「帰ろっか…」








「はい…」








私たちは、バスに乗り込む。








「ごめん。僕、寝てもいい…?」








「はい…」








「肩、借りるね。」








「…はい。」








そう言って、私の肩に寄り掛かって寝てし








まった。








私は問いかける。








「なんで、病院に行かないんですか…?」








でも、舞音くんは目を閉じたまま何も言わ








なかった。








「そうだよね、寝てるよ、ね…」








「病院に、行かないのは…」








「…え?」








舞音くんは、私に寄り掛かったままゆっく








りと話す。








「僕が病院に行かないのは…君に会えなくな








るからだよ。」








「え…?」








「学校に行って…図書室に行って…桜の顔を見








て…そっちの方が、薬なんかより、ずっと楽








しくて…効きそうだから…」








「そんな、こと…」








私のため…?








私は、目に熱いものが込み上げてくるのを








感じた。








「…僕は、笑顔の桜がいいな…」








「…だって…そんな、私の事…」








「僕は、桜が思ってるよりも、桜が好きだよ








。」








「…」








「ねぇ、桜。」








「…なんですか…?」








「今日、僕の家に泊まらない…?今日は一日








中、桜を離したくないんだけど…」








「…わかりました。」








バスが泊まる。








私たちは、バスを降りて








舞音くんの家に向かった。
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