アンサー
問題
桜が咲き誇る春。俺は高校へ進学した。
俺の学校は小中高一貫で勉強にも困らない環境だ。
どこかのお坊ちゃんは違う高校を受験しては落ちたり、受かったりして、あきれる。
受験なんか、するもんじゃない。どんなに頑張ったって、卒業すれば、皆と同じルートを歩くだけ。
俺は、中学時代、クラス、その学年でトップの成績だ。トップといっても3位なんてもんじゃない。1位だ。
凄く勉強しているわけでもないし、塾に通ってもいない。努力なんて、したこともない。
別に、誇っているわけでもない。授業を聞けばわかること。
くだらない。咲いては散って、落ちていく桜の花びらにそういった。

「出席をとります。呼ばれた人は返事をしてください。」

「相原君。宇佐田君。・・・」

順番に名前が呼ばれ僕も呼ばれた。
そして女子の名前が呼ばれ始めた。

「梶原さん。」

「はい。」

梶原と呼ばれる子は、俺の隣の席になった。俺は一番後ろで窓際の一番端だった。友達なんて1人もいない俺には最高の席だった。

「よろしくね。えっと、柳葉祐哉君。」

「・・・いいにくいだろ。普通にやなー」

「えっ良いの!?じゃあ、よろしくね。
祐哉君!」

・・・イッキに親近感をあげてきた彼女は可愛らしい笑顔でそう言った。

「・・・うん。・・・弥生・・さん。」

ああぁぁぁ。最悪だ。よりによって弥生なんて言う可愛らしい名前。もっと、さくら
、あいみ、にこ、とか、いかにもブリっ子っぽい名前はないのか?
あ、全国のさくら、あいみ、にこ、さん。すいません。悪気はないんです。

「弥生で良いよ。さんは、こっちがあの、恥ずかしいので・・・。」

!?この子何言ってんの!?

「えっ。んと、良いの?その、誤解されたりとか、。」

「・・・み、皆は、そう呼んでいるから。そっちの方が嬉しいな。」

女子の皆って何人だよ。
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梶原弥生の第一印象は長い黒髪に華奢な体つき。可愛らしい声に、いいにおい。いかにも女の子って感じだ。
可愛い。
まぁでも、女子と話したことが滅多にない僕は、相手にとって隣の席の男の子だろう。どうせ、この子も他の人と同じ目で僕の事を見るだろう。

ガリ勉 ボッチ 付き合いずらい 気持ち悪い

これくらいの言葉を吐かれるのはもう慣れた。話しかけてきたのも、俺の事を知らないから。俺の事を知っている人は、俺を避け、無視して、空気のように扱う。
多分、自然と知らない人もそうやって俺を空気のように扱う。
最近はこっちの方が静かで、やりたいことがやれ、めんどくさい係も回避できている。彼女もまた、俺をー

「祐哉くん。授業始まっちゃうよ?準備とかしなくて良いの?」

え、授業?あ、もうこんな時間か。
というか、誰が教えてくれた?

「や、弥生・・・。あ、ありがとう。」

「隣の席だからね!」

「弥生さ、ずっとこの席に座ってた?」

「・・・うん。私、友達いなくてさ。祐哉くんは?」

俺もいない。昔から。誰1人も。

「弥生と一緒かな。」

「じゃあさ、・・・友達に・・・なってくれる?嫌だったら、嫌って言って。」


これが男だったら断っていただろうな。

「良いよ。僕で良ければ。」

「ありがとう!わー!嬉しい!」

あ、別に、女の子だからではなく、彼女の偽りのない笑顔でグッときたからだ。

「祐哉くん、次テストだって。抜き打ち。実力診断・・・とか、なんとか。頑張ろうね!!」

「うん。」

頑張らなくても結果は良い。答えがすぐに浮かんできて、これは前にも出てきたな。ネタ切れか。こんな問題誰でも解ける。
毎回のように思う。40分も要らない。せいぜい15分で良い。

顔を一番にあげるとそれをみた担任は、かなり驚いた後、俺の名前を見て、こいつが噂の秀才君か、と納得した様子だった。
そうだ。俺は秀才だ。勉強もせずに、努力もせずに、最高の結果を出してしまう。

だから俺はいつも嫌われ、1人なんだ。

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