この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。



***


家を出る頃には、21時を回っていた。

夜空に星が煌めく中、私は棗くんと一緒にマンションへと向かう。


「美羽、本当に良かったの?」

「はい、私は……もう少しだけ、棗くんと暮らしたいです」


そう、お父さんと仲直りした私は、家に帰ってこないかとお父さんに言われたんだけど……。


まだ、棗くんに恩返し出来てないと言って、棗くんの家に残ることを選んだ。


お父さんも、棗くんなら安心だと言ってくれたし……。

お父さんの所へは、時々顔を出す約束をして、家を出てきた。


「俺、本当は少し怖かったんだ」

「え?」

「美羽が、これで俺の生活からいなくなっちゃうんだってね」


寂しげに八の字に下がった眉。

それに、胸がトクンッと鳴る。

棗くんが、私がいなくなることを寂しいって思ってくれた。

それが、すごく嬉しい……。



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