ビタービターチョコレート
……でも。
 

黙って車を走らせる。
向かった先は自分の家ではなくて……岸くんが、経営する工場。

もう九時を廻っていたせいか、すでに電気は消えてきた。
家の方にいこうか迷っていたら、中から誰か出てきた。

「蒼子?
来るなら来って連絡くれれば……」

「……話があるの」

「……わかった」

小さくため息をつくと、岸くんは携帯を取りだして、誰かに連絡していた。
話が終わると、助手席に乗り込んでくる。

「お袋。
友達と飲んでくるってゆっといた」

「……そう」
 
少し車を走らせ、人気のない海辺で停めた。

「……で?
わざわざこんな時間に、しかも工場の方に来るってことは、お袋に聞かれたくない話だろ?」
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