難あり編集者と極上に甘い結末

〝君の作品をより良くする為に、俺は沼川さんに恋愛を知ってもらう必要があると思ったから、そう提案したんだ〟

 前に、彼が言った言葉を思い返す。

 彼の言う言葉は、全て、私の作品を良くするためのもの。だから、私は岩崎さんを好きになったって、恋をしたって、苦しいだけなんだと改めて思い知らされる。


 嫌い。嫌い。嫌い。嫌い。と、ずっと唱えていれば嫌いになれるのだろうか。

 好きじゃない。好きじゃない。好きじゃない。と唱えていれば、彼のことを好きにならずに済むのだろうか。


 絶対に、彼を好きになってはいけない。絶対に、彼に恋をしてはいけない。

 この日、私は、何度も何度も自分にそう言い聞かせ続けた。



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