‐部恋。 Round 02‐


グッと歯を食いしばって、
緊張からか体が硬直してる勇介は、
いつもと違ってひとつも
余裕がない様子だった。


ねぇ、勇介。

いま思い出せたけど、
勇介は自分の気持ちを
口に出せない人だったよね。


なのに、今日はこんなにも
頑張ってくれているんだ…。


私は勇介の両手を
そっと握りしめ、包み込んだ。

勇介の手には
全然力が入っていなくて、
それだけ緊張していたことが
感じられたんだ。


照れくさそうに
少し目をそらしてる勇介は
小さな子供みたいだった。



「勇介…、ありがとう。」


『―――うん。』



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