‐部恋。 Round 02‐



『……シン兄はな、
 健の兄貴だよ。』


「あ、あにきっ!!?」

『そ。』



あの爽やかすぎる笑顔…、
確かに似てるかも。

あ、でも健ちゃんよりも
数倍爽やかだったけど(笑)


『シン兄は俺の憧れかな。
 サッカーとか
 ものすごいうまいし。

 彩さんだって、
 すごく大事にしてるし。』

「そうなんだ…。」


『シン兄は健と同じように
 可愛がってくれてさ。
 俺、シン兄いなかったら
 こんなにサッカーを
 夢中になってないよ。』

「――――…」


『なに、まだ不満?』

勇介小さく笑う。


「なんか…、ヤキモチ。」

『―――…。』

「あたしも勇介の力に
 なってあげたいよ。」

『……うん。』

「でも、あたしサッカー
 うまくないしな…、」

『…愛奈?』

「ん?」


『今から言うこと、
 真剣にきけよ?』

「あ…、はい……。」


すると、勇介は私の前で
スゥーっと息を吸った。

そんな姿に私まで緊張して、
うまく呼吸ができなかった。


『お前…愛奈はシン兄よりも
 遥かに俺の力になってるから。
 そばにいてくれるだけで、
 俺は何よりも落ち着くし
 安心する。

 どんだけ緊張してたって
 お前が「大丈夫」って言えば、
 頑張れるんだ。

 …俺は今まで一人で抱えて
 頑張ってきたことが、
 いつの間にか愛奈がいなきゃ
 頑張れなくなってる。

 ――…今の俺は。
 お前が必要なんだ…。』


…ばかだなぁ、私は。

いつも不安になって、
泣きそうになって、
私ばっかり勇介のこと
想ってるんじゃないかって
ずっと思ってた。


でも、違ってた。
勇介も私を必要としてくれてた、
大事に想ってくれてた…。



もっとお互いの気持ち、
素直に伝え合えば良かったんだ。



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