離婚前提策略婚。【改訂版】
「龍成…!」


麻友ちゃんの顔が強張るも、親父は表情を崩さない。


「そこまでして会社の体裁を守りたいのか?他にいくらだってまともなやり方あるんじゃねーの?人の人生なんだと思ってんだよ。会社の為に人がいるとでも思ってんのか?」

「全てお前が蒔いた種だ」

「──っ」


……俺が?


「お前が元からしっかりしていれば、こんな強硬手段など使う必要がなかった。全ての原因はお前だ」


……

……俺がしっかりしていれば。

……俺が遊んでいなければ。

……俺が週刊誌に載っていなければ。

……俺が真面目にしていれば。

……俺が偽装結婚なんて考えなければ。


──そうすれば、誰も傷つけずに済んだのだろうか。


「…上がこんな腐ってる会社なんて継げるか。離婚はしてやる。でも再婚はしねぇ。会社にも、もう来ねぇ」

「龍成!」


立ち上がり部屋を出ようとしたが大事なことを思い出し、ドアの手前で立ち止まる。


「華乃の親父に手を出したら許さない。その時は俺の手で、この会社を潰してやる」
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