離婚前提策略婚。【改訂版】

華乃の願い

ばっちり聞こえてしまった二人の会話。

だってあんな大きな声で言い合ってたらイヤでも聞こえちゃうよ。

でも龍成が嘘をついたってことは、わたしは聞かない方がいい会話だったってことだよね?


…そりゃそうだよね。わたしがいて利益がどうのってとこからしか聞いてないけど、まさかわたしがお姉ちゃんの代わりだったなんて…。


なんで?なんでお姉ちゃんの代わりにわたし?わたしなんてお姉ちゃんの代わりになれるわけないじゃん。

まず代わりの意味がわからない。お姉ちゃんが婚約してたから?そうだとしてもなんでわたし?妹だから?そんな単純な理由?


どうして……。

わけわかんない、こんなんじゃ眠れない……。


眠れずにひたすら考え込んでいると、寝室のドアが開き、龍成が入って来る気配がする。

離れていても伝わる龍成の体温。

ただでさえ最近は意識しすぎてちゃんと眠れてない。このままじゃ今日は一睡もできない。


……聞いちゃおうかな。聞かない方がいいんだろうけど。


でも聞かずにもやもや考えているより、わたしは聞いて後悔したい。
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