離婚前提策略婚。【改訂版】

龍成の愛情

「ねぇ、ちょっと」


……。


「ねぇ、龍成ってば」 


……。


「…どうしよう、何で殴れば起きるかな」


……は?


「フライパンだと打ち所が悪いと危険だよね。とりあえず新聞紙を丸めたので様子を見よう」


何を一人で言ってんだ?


「よし」

「──っ!ってぇ…」

「あ、起きた?」

「…や、ふざけんなよ」


起きた?じゃねぇよ。よくも俺を新聞紙で…。寝起きからその馬鹿力、勘弁してくれ。


「ふざけてないよ。時間過ぎてるけど会社は大丈夫なの?珍しいね。いつもならアラームで起きるのに、今日は鳴らなかったよ」


行く気ねぇから消してたっつーの。


「…嫌がらせですか」

「休みじゃなかったら大変だと思って一応起こしたんだけど」

「それはどうもご親切に」

「で、どうなの?休み?」

「…休み」

「あ、ごめん。じゃ、おやすみ」

「起きたわ!寝れるか!」

「あ、ごめん」


……このやろ。んな笑顔で言われちゃ、悪態をつく気にもなれねぇだろうが。
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