離婚前提策略婚。【改訂版】

龍成への罰

『離婚したくないならそう言えよ。今なら間に合うぞ』


──わかってたよ。


あんな言い方をしたら華乃は絶対素直にならない。それを承知の上で言ったんだ。

欠片もない望みをかけて。


自分が馬鹿すぎて笑えるわ。マジでどうしようもねぇ。こんなんでどこがいい男だよ。

見栄と虚勢の塊じゃねぇか。


自分から華乃を追い出したくせに、寂しさだけがひたすら募っていく。


ソファーに寝そべり、離婚届を手にし見上げる。

怪我をしている上に震えながら書いた、華乃の文字。


なぜか胸が熱くなる。


──でも一緒にいても辛い。いなくても辛い。


どうしろってんだよ。


時間が忘れさせるまで、ずっとこのままでいろってのか?軽く生き地獄だよ。

…これも俺が華乃にした罪の罰か。


そう思うしかねぇ。じゃなきゃやってらんねぇ。


俺のことだ、きっとすぐ忘れられる。一時の気の迷いだ。一緒にいなくなれば、こんな厄介な気持ちも勝手に消えてくだろ。


かなりきつく終わらせちまったけど、華乃は俺を憎むくらいでいいんだ。馬鹿な男と一緒にいない方がいい。
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