その唇で甘いキスをして…
アタシはまたカオルに捨てられた気分だった。

便利屋の事務所に行くと貼り紙がしてあった。

ー私事により暫く休業致します。ー

”休業”って文字がアタシの救いだった。

(帰って来るよね…)

アタシはハルさんに連絡した。

「カオルが居なくなった。」

「うん。」

ハルさんはカオルが居なくなったことを知ってた。

「止めなかったの?」

「止めたけど…無理だった。

でも帰ってくるから。」

そしてアタシはハルさんの家に戻った。

ハルさんは昔のクールでカッコいいハルさんに戻った。

一時の情熱的なハルさんは居なくなって
アタシはまた落ち着いた生活に戻った。

ハルさんに抱かれる事も少なくなって
アタシはジョウの母親に戻れた。

カオルが居なくなって1年後、
ジョウさんが戻って来た。

ジョウさんは前よりもっと目つきが鋭くなって
怖くなってた。

「久しぶりだな。」

アタシが泣くと

「心配かけたな。」

とアタシの頭を撫でた。

「カオル…どうしてる?」

「1年前に居なくなってそれっきりだよ。」

「何処でどうしてるのか知らないのか?」

「うん。」

ジョウさんはあれからのアタシとハルさんとカオルの間に起こったことを知らない。

アタシはずっとカオルを待ってるのに
カオルからは何の連絡もなかった。
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