その唇で甘いキスをして…
疑惑と本音
アタシはジョウさんにハルさんと離れて
カオルと生活してた事を話した。

そしてアタシはハルさんを選んで
カオルは居なくなった。

「それで良かったんだよ。」

「わかってるよ。」

「お前はやっぱり変わらないな。

誰の愛も捨てたがらない。

カオルには友だちとしての愛だけ与えるべきだったのに…お前は昔からそれが出来ない。」

「…そうだよね。

あの時…ハルさんがどんどんアタシに興味が無くなって…
男としてのカオルがどんどんアタシの中に入って来た。

そしたらカオルとおかしくなっちゃって…

ハルさんが別人みたいに冷たくなって…
結局カオルに溺れちゃった。」

「ハルさんは…誰かに物を取られたことなんか無い人だからな。

あの人は何でも持ってて…

誰よりも強くてカッコよかった。

でも…お前をカオルに取られて
ハルさんは初めて気がついた。

水をやらなきゃ花は枯れるってな。

お前は金じゃ買い戻せないしな。

だから焦ったんだろ?」

「何それ?」

「でも…ハルさんが一番手放したくないのはお前だ。

わかってるだろ?」

「どうかな…。

あの時のハルさんは…執着しか無かったのかもって思う時がある。」

「また上手くいってないのか?」

「そうじゃないけど…
時々ハルさんとの間に壁を感じるの。」

「ジュン…わかってやれ。

言い方は悪いけど…
ハルさんはお前に浮気されたんだぞ。

そういう傷は一生残る。」

アタシはハルさんを愛してる。

愛してるけど…カオルが居なくなって…
ハルさんの中のアタシへの想いは少しずつ冷めてる気がしていた。




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