その唇で甘いキスをして…
浮気したんだから当たり前なのかもしれない。

ハルさんは今夜も帰りが遅くて…
アタシは一人で眠る。

時々カオルのことを思い出す。

カオルと一緒にいた時は
一人で眠ることなんか滅多に無かった。

カオルの温もりを思い出すと
余計に寂しくなった。

真夜中にハルさんが帰って来た。

服を着替えないでベッドに倒れこむ。

お酒とタバコの匂いがしてアタシはハルさんに声をかけかける。

「ハルさん、着替えないと…」

アタシがハルさんのネクタイを外してシャツのボタンを一つずつ外す。

「ジュン…」

「ん?」

「水をくれ。」

「あ、うん。」

アタシはベッドを降りてキッチンから水を持ってきた。

ハルさんは水を飲むと

「シャワー浴びる。」

と部屋を出た。

「何か食べる?」

と聞くと首を横に振った。

そしてシャワーを浴びて戻ってくると

「おやすみ。」

とアタシに背を向けて眠る。

「ハルさん…」

「ん?」

「こっち向いて。」

アタシがそう言うとハルさんは面倒くさそうにこっちを向く。

「アタシが許せない?」

「え?何言ってるんだ。」

「ハルさん…変わっちゃったから。」

「何心配してんだ。変わってないよ。

ジュン…悪い、今夜は疲れてる。」

ハルさんはアタシを抱きしめてくれる。

だけどそれが義務みたいに感じて
アタシはもっと寂しくなった。

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