その唇で甘いキスをして…
その日からハルさんとまたギクシャクし始めた。

あの時、素直にカオルの事を話せばよかったんだけど…

アタシはそんなハルさんに少し疲れていた。

カオルはカオルで店にも来なくなった。

ハルさんのことが気になって
カオルに逢いに行けなかった。

店には久しぶりにジョウさんが来た。

ジョウさんの周辺がまた慌しくなって
しばらくここに来るのをやめていた。

「元気にしてたか?」

「うん、ジョウさんは?大丈夫?ケガしてない?」

「ああ、大丈夫だ。

そんなに簡単にやられたりしない。」

ジョウさんはアタシの頭を撫でる。

アタシはその大きな手に触れられてホッとする。

「ハルキさんと上手くいってるのか?」

「…どうかな?」

「え?まさかまだごちゃごちゃしてんのか?」

「仲良くしてたのに…また機嫌損ねちゃった。」

「カオルか?」

「…うん。でもカオルは何にも悪くない。

アタシがね、ダメなんだ。」

ジョウさんは珍しくカウンターに腰かけた。

「お前さ、カオルに肩入れし過ぎなんだよ。

アイツはお前がいるからいつまでも好きなオンナを作らないんだ。」

「カオルね、恋したの。完璧なプラトニック。

そんなカオル想像できる?」

「カオルはさ、何でお前にこだわるか知ってるか?

お前と寝たいとかキスしたいとか…平気で言うだろ?

時には行動に移すだろ?」

「うん。」

ジョウさんの分析はアタシには想像もつかない事だった。






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