その唇で甘いキスをして…
ジョウさんの助言
ジョウさんはカオルの気持ちをジョウさんなりに分析した。

「カオルの好きな子ってどんな感じだ?」

アタシはリンちゃんの話をジョウさんにした。

「身体の事があるからかもな。

自分と同じように身体にコンプレックスを持ってたから…

彼女は子供が出来ないからこそ
簡単にそういう行為をされたら傷つくと思わないか?

多分大事なオンナなら尚更だ。

もっともカオルも出来ないんだけどな。

だからキスするのも躊躇ったんだよ。

それにアイツは仕事がらみじゃない女には元々簡単に手は出さない。」

確かにそうだ。

カオルは軽そうだけどそれはいつも仕事からはじまった。

はじめてアタシに会った時もカオルはけっしてアタシに触れなかった。

「でもそれならどうして今のアタシには手を出そうとするの?」

「お前はアイツにとって誰とも違う。

昔から一番寂しい時、アイツが側にいて
その寂しさをその肌で慰めあって来たろ?

ただ抱き合うだけで安心するって言ってたよな?

カオルとお前はsexに関して人と考えが違ってた。

だからお互い男と女なら恋愛の過程を飛び越えて
すぐそうなる事が自然だと思ってた。

お前もカオルのまわりもロクな大人が居なかったからだ。

多分カオルが元気だったらお前らが抱き合ったりキスしたりするのにそれほど時間はかからなかったハズだ。

お互い相手と仲良くなるために最初に取るコミュニケーションだったから。

カオルもお前も若い頃、生きるためにそれを神聖なモノと受け止められずに利用して生きてきた。

でもカオルは出来なくてもお前とただ抱き合ってるだけで
神聖な気持ちで愛せたそうだ。

守ってやりたいとか愛しいとか思ったのはお前が初めてだったってな。

アイツにとってそんな女はおまえだけだった。」

ジョウさんから聞いたカオルの想いは
アタシの胸を切なくさせた。




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