その唇で甘いキスをして…

アタシは昔を懐かしみ、
ジョウさんとあのRed Choralで一緒に働いてた時の事を思い出した。

思えばあの時が一番楽しかった。

あの場所にはハルさんともジョウさんとも
そしてカオルとも…
たくさんの思い出があった。

「話が逸れたな。」

そしてジョウさんはアタシとカオルとの話に戻った。

「そもそもお前がアキラの女だった頃からアイツはお前が好きだったそうだ。

アキラに暴力受けてた事をアイツだけはかなり前から知ってたろ?

あんなヤツに殴られても愛だと思ってたジュンが可哀想で何とか救ってやりたくて
しばらくお前の周りを尾けてたそうだ。」

「だからカオルはあの時あんなにアタシと偶然会ったんだ。」

「偶然なんかじゃねぇよ。

アイツはあの頃からお前が好きで守りたかったらしい。

お前を初めて抱きしめた時、震えたって言ってた。

抱きしめてるとお前を守れた気になったらしい。

お前は抱きしめるだけで安心させてくれるし、
英雄にもさせてくれるオンナで
アイツにとって決して失いたくない存在だった。

sexなんて出来なくても
お前の身体はアイツにとっては特別な場所だそうだ。

まるで幸せだった子供の頃…母親に抱かれてる様な気持ちになるってさ。」

自然と涙がこぼれ落ちた。

アタシも全くカオルと同じだから。

カオルの身体はずっと特別だった。

あの場所は決して失いたくなかったハズなのに
アタシはハルさんにその場所を見つけてしまった。
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