その唇で甘いキスをして…
最後に帰る場所

ハルさんはなかなか許してくれなかった。

その夜、ハルさんは何もしなくて
全てをアタシに任せた。

「ハルさん…まだ怒ってる?」

アタシはハルさんにキスをしてみる。

ハルさんは目も閉じないで
アタシを見てた。

「あの日、カオルに何があった?」

ハルさんはどうしても白状させる気だ。

アタシはあの日、
カオルにキスされそうになって
それを避けた。

ハルさんのために、
ハルさんを愛してたから
そうした。

だけど…ハルさんにキスされて
カオルに申し訳なくなって
あの夜はそれ以上
ハルさんが触るのを拒んだ。

そんな事は今のハルさんに言いたくない。

言ったら終わってしまう気がしたから。

「ハルさん…もう終わったことだよ。
だから今、こうしてるでしょう?」

アタシはハルさんの手を取って口付ける。

ハルさんはその腕を引いた。

「ハルさん…どうして?」

「お前が白状するまで触らない。」

アタシはハルさんの身体から降りた。

「わかった。もういい。」

「ジュン、この部屋を出たら許さない。」

アタシはハルさんの言うことを聞かずに部屋を出た。

あんなハルさんは初めてだった。

アタシは疲れていた。

自分の本当の気持ちがはっきりして
ハルさんとやり直そうとしてるのに
ハルさんの信用をすっかり無くしてしまった。

悪いのはアタシだけど…
この信用を回復出来る自信が無かった。




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