その唇で甘いキスをして…

次の朝、ハルさんと口もきけなかった。

ハルさんは

「おはよう。」

とだけ言った。

ジョウは何かを感じたみたいで
いつもより話さなかった。

カフェに行くとジョウさんが来た。

「元気ないな?どうかしたか?」

ジョウさんにはすぐわかってしまう。

アタシは今の状態をジョウさんに話した。

「あの家を出ることになるかも。

もうハルさんは許してくれないみたい。」

「だから言ったろ?

これからどうするんだ?

もしそうなったらオレを頼れ。

いいか?カオルの所には行くなよ。」

「うん。」

ジョウさんにもカオルにも頼るつもりは無かった。

アタシはその夜、ハルさんに言った。

「しばらく別々に暮らそう。」

ハルさんは落ち着いてた。

「好きにすればいい。」

「お店には出てもいい?」

「あの店の名義はお前だ。

好きにしろ。」

「それからジョウだけど…」

「ジョウはだめだ。」

「ハルさん…何にも要らないからジョウだけは返して。」

「返す?ジョウはオレの息子だ。」

まるで離婚が決まったみたいにアタシたちは話した。

「とりあえず家を出ればいい。

マンションは借りてやる。

ジョウにも会わせてやる。

でも忘れるな?出てくのはお前が望んだ事だ。」

ハルさんは別人みたいに冷たくて
アタシは行き場を失った。

結局最小限の荷物をまとめて家を出た。









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