その唇で甘いキスをして…
「お前、妊娠してたの知ってたのか?」

ハルさんが突然そんな事を言ったけど…
アタシは何が何だかわからなかった。

「知らなかったんだな。」

「妊娠て…ハルさんの子を?」

「当たり前だろ?」

バカな事を聞いてしまった。

間違いなくハルさんの子供なのに。

それでもアタシが自分を大事にしてなかったから
アタシのお腹の中の子供の環境はかなり悪いようだった。

アタシはたくさん後悔した。

カオルとキスした夜のことも
ハルさんと一晩中抱き合った夜のことも…

その後の夜のことも…

ハルさんはあの日から毎晩のようにアタシの身体を愛したから。

それはハルさんも同じだった。

「無理させたよな。」

あんなに乱暴に抱いたことを後悔してる。

って言ってるみたいにハルさんはいつもすごく優しいから。

でもあんな風に抱かれるのもアタシは嫌いじゃなかった。

「ハルさんのせいじゃないよ。」

アタシがそう言うとハルさんはアタシのおでこに優しくキスをした。

その様子をカオルが見ていた。

アタシの胸はまた少しだけ痛んだ。
< 8 / 131 >

この作品をシェア

pagetop