保健室までたどり着いた。
梓を抱えていない方の手で扉をノックする。
返事はない。まあ、だろうなとは思ったけど。
あんな騒ぎがあったから、きっと先生達は職員室に招集されているに違いない。
「梓ちゃん、職員室まで行くけど、大丈夫そう?」
「わ…から、ない…」
梓の様子を見る限り、これ以上は危ないかもしれない。
気を失ってしまったら大変だ。
そう思った私は、勝手に保健室に入り、ベッドに梓を横たわらせた。
「急いで先生呼んでくるから、ちょっとここで待っててね」
私は、梓が頷いたのを確認するや否や、保健室を飛び出した。

職員室の前まで行くと、先生達が言い争いをしている声が聞こえた。
入りづらいと思ったが、梓が窮地に陥っているんだ。ためらっている暇はない。
コン、コン。
「失礼します!2年B組18番、望月恋桃です!大変です!梓さんが怪我をしてしまって…!」
そこまで言うと、奥から保健の先生が走ってきた。
「本当かい?どれくらいの怪我だ?」
「分かんないですけど、出血が凄いです。保健室で寝ているはずなので、行きましょう!」
「分かった。だが、君は教室に戻りなさい。僕が一人で行くから。」
「…はい。」
本当は梓が心配だったのでついていきたかったが、諦め、渋々教室に戻ることにした。
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