恋デート 【絶対にキスをする】

あまりに熱心すぎてときどき扱いに困るくらい全力であたしに懐いてくる凌空は、尻尾を振りしきってる無垢な子犬みたいだった。

それでうっかり『ちょっと可愛いかも』なんて思うようになって、だんだん凌空に追いかけ回されるのがまんざらじゃなくなった。


……いや、きらきら目を輝かせて好意全開で向かってくる凌空に、あたしはいつの間にかすごいたまらなくなっていた。それで2ヶ月前、『今日もマジきれいっスね』なんて挨拶代わりに言ってきた凌空に勢いで言ってしまった。



『そんなにあたしのこと気に入ってるなら、付き合ってみる?』



自分でもびっくりするくらいさらっと言っていたけど、その裏側では心臓がはち切れそうなくらいバクバクしていた。

自分から「好き」って告白出来なくて、だから思いっきり上から目線な告白になったけど、なぜかめでたくもあたしのその一言がきっかけで凌空とカレシカノジョの関係になれてしまった。



それから凌空狙いだった女の子たちから随分恨まれた。


『どうせ凌空くんのことパシりにしてるあんな感じの悪い先輩なんてすぐ捨てられるよ』

『咲也先輩はマジかっこいいけど、あの人はないわ。凌空くん趣味悪すぎ』


さんざん悪口も叩かれた。

でも隣で笑ってくれる凌空を見ていると誰になんて言われてもどうでもよくなった。言葉にして伝えることなんて出来ないけど、凌空と一緒にいることがただしあわせだった。



でもいつからだろう。

あたしと過ごすたびに、だんだんと好意全開だったはずの凌空の顔から笑顔が減っていくようになったのは。






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