クールな御曹司にさらわれました
「まて、タマ。俺はおもちゃにしてるつもりも馬鹿にしてるつもりもないぞ」

「してるじゃないですかぁっ!!」

私が怒鳴ると、尊さんが立ち上がった。私の前に歩み寄ると、唇を開きかけ、やめて髪の生え際を掻く。

「絶対、絶対、父を見つけて、一日でも早くあなたから離れたい。もう限界です」

「……そうか、それは賢明なことだ。反骨心は生きていく上で必要だからな。タマには足りない部分だ」

尊さんは目をそらし言ってから、言葉を切った。そして、今度はまっすぐ私を見下ろす。

「しかしだな、やはり誤解されたままというのは気分が悪い。俺を悪人と思うのは自由だが、こっちも資産や手間をかけてタマを教育してるんだぞ。おまえをおちょくるために金なんかかけない。おまえを、真中妙を一流の女に育てようと……」

「オイルマネーダーリンに売りつけるためでしょう?」

「オイルマネー……面白いな、その表現。とにかく、俺も好きでいじわるしているわけじゃないぞ。そう不貞腐れるな」

尊さんが急に腕を伸ばしてきて、私の頬の涙をぐいと拭った。

でっかい手でごしごし拭うから頬っぺたが痛い。いっつもぐにゅぐにゅ引っ張られている頬を今日はこすられている始末。赤くなっちゃうよう。

「痛いです」

「そうか。おまえは小さくてちょっとしたことで壊れそうだな」

尊さんはブツブツ言いながら、私から離れると、さっき自分で剥いた着物を手に戻ってくる。

「着付けてやるから、いいこにしてろ」

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