ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

「シャワーを浴びてこられたらどうですか? 酔いも覚めると思いますし」

「…ああ、そうだな」

と、ベッドから立ち上がる。

艶やかな黒髪に片手を差し込んで、

「……昨日、私は酔っ払って寝てしまったのか?」

視線を投げかけてくる。

「…ええ、まぁ…」

にわかに昨夜のことが思い出されて、わずかに目をそらす。

「……あんなに美味い酒は、もう何年も飲んでなかったから、ちょっと酔ったな…」

「…そうなんですか」

ホテルのスタッフの方が言われていたーー

『きっと、お酒の席でのおしゃべりを楽しまれている内に、酔われてしまわれたんでしょうね。とても楽しげでしたから』

という言葉が、頭に浮かぶ。



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