JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
怪訝そうな響を前に…

秘かにゴクリと唾を飲んで、覚悟を決める。



「こーやって取り戻せる日が来たのも、こんなに立ち直る事が出来たのも…
響のおかげだし、やっと前を向けそうなの。

もう、身代わりがいなくても大丈夫」


耳を疑うような顔を…

知らんぷりして、一気に話を畳み掛ける。


「これからは一真の事を穏やかに想いながら、家族と支え合って生きていける。

響を支えられないのは申し訳ないけど、今後は心配をかけ続けた親を支えたいの。

それに元々は、お互い身代わりがいなくても乗り越えて来たんだし…
響も乗り越える力を持ってる。

だから響も誰かのためじゃなく、ちゃんと自分の幸せを掴んでね。

…私たちは、とてもいい関係だったと思う。
だからこの2人で過ごした日々を無駄にしないためにも…
それぞれの一歩に踏み出そう?」



だけどその人は、俯いて黙ったままで。


なんとか言ってよっ…

心が揺らぎそうになる。



それをぎゅっと抑えて、話を進めた。
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