ifの奇跡
私の日常
pipipipipi…………


耳元で徐々に大きく聞こえてくる、その音源になっているスマホに手を伸ばしアラームを解除した。

薄く目を開けるとまだ外は薄暗く布団から出ている私の頬は部屋の空気に長時間さらされ続けてすっかり冷たくなっていた。


私の地元であるここ北陸の地も、毎年続く暖冬のおかげか昔ほど大雪は降らなくなった。

先週テレビから何度も流れてきた “今年一番の大寒波” の時も予報に反して10センチ程の雪が積もっただけ。


子供の頃は雪だるまや鎌倉を作ったり、雪合戦をしたりと積もっていく雪を見るとワクワクしたものだけど、大人になった今は雪が降っても嬉しいことなんて一つもない。

雪に関する楽しかった思い出なんて、遠い過去の幼い頃の記憶の中にしかない。

今はもうすっかり雪も溶けて消えたけど、まだ1月も半ばのこの時期の寒さは体にこたえる。

というよりも年々冷え性になり寒さに耐えられない体になってきている。

だから、毎朝この布団から出なけれなばいけないこの瞬間が憂鬱な一日の始まりに更に拍車をかけていた。
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