ifの奇跡
「…美沙ちゃんは…知ってるよな。」

「…うん、今日会ってたから…」

「じゃあ、今日美沙ちゃんといた友達ってお前だったんだ……。確かに俺と偶然会ったときの美沙ちゃん、少し様子が変だったもんな。」

「………。」

「俺がいるって気づいてた?」

「トイレから戻る時に見えたから……」

「……そっか。そりゃ昔の別れた男なんかに会いたくないよな……」

「そんなこと思ってない。確かに、冬吾に合わせる顔はないと思ってたけど、会いたくないなんて思った事は一度も…なかったよ。今だってこんな風に冬吾に優しくしてもらえる立場じゃないのに、申し訳ないと思ってる。…だからこれ飲んだら、もう…行くね。」


会いたくなかったわけないじゃない…。

逢いたい気持ちを押さえ込んで必死に生きてきたから…。


「…あと一つだけ聞いていい?」


まっすぐに私の目を見据えながらそう聞いた彼に私も頷くしかなかった。


「泣いてたのは…旦那と何かあったから?」

「……………!!」

「……何も言えないって事はそうなんだ。」


それもあったけど、何より驚いたのは私が結婚していることを彼が知っていたから。
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