ifの奇跡
彼は今はもう何を言っても無駄だと判断したのだろう…。

“莉子が落ち着いたら、後でもう一度話し合おう” そう言い残し

自室に入った彼はしばらく経っても出てくることはなかった。

もしかしたら、昨日あまり眠っていなくて今頃寝ているのかもしれない。

今朝、彼が帰ってこなかったのを確認した私は、少ない自分の荷物をキャリーバックにまとめて詰め込んだ。

彼には何も言わずに黙って家を出た私はとりあえず駅に向かった。

スマホで安いホテルを探し予約を入れると、そのホテルに向かうため電車に乗った。

今夜はそこに泊まるとして…これからの事を考えないといけない。


しばらく一人になって考える時間が必要だと思った。

私も彼も…。

彼にとっては、私が出て言ったところで困るどころか…都合がいいのかもしれないけど。

もう私がいないことにも気づいているだろうか…


ホテルに着いた私はチェックインを済ませ部屋に入ると張り詰めていた気が緩んでしまったのか…急に体の力が抜けたように窓際の椅子に力なく座った。

窓から見える景色は夕焼け空がすごく綺麗なのに…綺麗すぎて涙が溢れる。

床に投げ出したバッグからバイブ音が鳴り響いていた。




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