ifの奇跡
「こ、今夜は…一緒に眠るだけでもいい?」


少しの沈黙と、ハァーというため息の後に


「……莉子、その下から見上げながらのお願いは反則だから…。まぁ、だけど俺も急いでがっつくつもりは無いし、さっきのは可愛すぎたお前が悪いんだからな。今日はキスだけで充分幸せだよ。」


そう言って、また私の唇にキスをした。

啄ばむようなキスの後、スッと離れていく冬吾を目で追っていたら


「…そんな目で見られると、俺も止められなくなるんだけど…いいの?」


片方だけ口角を上げてニヤリと笑う冬吾が言った言葉に慌てて目線をそらした。


“ ククッ。”


また、笑う冬吾の声が上から落ちてくる。


「ウソウソ冗談だよ。安心してくれていいから…」


そう言って冬吾は体を起こすと、ソファに埋もれていた私の腕を取り起こしてくれた。


「…ありがとう」


起こしてもらい少しだけ乱れていたスカートの裾を直しながらお礼を言うと、冬吾の手が私の頭に置かれポンポンと優しく2度跳ねた。

立ち上がった冬吾がキッチンに向かうと、壁に取り付けられたパネルを操作しながら私に言った。


「何もしないけど、風呂だけ入ってこいよ。着替えは…俺のを貸すから。あっ、でも流石に下着はないから後でコンビニで買ってきてやるよ。」


確かに、シャワーを浴びてきたとは言えこのまま寝るのは嫌だったからお風呂だけは入らせてもらう事にした。

だけど、下着まで買ってきてもらうわけには……。
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