ifの奇跡
その日は、そのまま冬吾のマンションに2人で帰ってきた。

今日はもちろん…始めから泊まるつもりで着替えも準備してきた。

実はまだ冬吾とは最後までしていなかった。

初めてこの部屋に来たあの日は、冬吾は約束通りキス以上のことはしてこなかった…。

冬吾にはかなり蛇の生殺しだと言われたけど、それでも彼は私の気持ちを優先して約束を守ってくれた。


女である私にだって、もちろん性欲というものはある。

だけど、その場の勢いでそうなるのは嫌だった。


あれから今日までの間も冬吾とは何度か会ったりはしていたけれど、冬吾も大学やバイトの方が忙しかったり私もバイトが忙しいのが重なっていたりで…ゆっくり時間をとって会えたのはあれから初めてだった。

もちろん、あれから6人では会っていない。


2回目となる冬吾の部屋に入った瞬間、性急にキスをしてきた冬吾。

後ろのドアに背中をくっつけた態勢のまま、冬吾がグイグイ迫ってくる。


何度も角度を変えられ重なる冬吾のキスに私も頭の芯がぼうっとして蕩けそうになってくる。

その場で腰が砕け崩れ落ちそうになった…

そんな私の腰を冬吾の腕がガッチリと支え、キスで深く繋がる。


「んっ……」


冬吾のキスが気持ちよくて、力の抜けた口からは甘い吐息が漏れた。

キス…が唇から首筋に移動していく。

支えてもらっていても、彼の背中に回した手で冬吾の服をギュッと握りしめ立っているだけで限界だった。

首筋を這う冬吾の唇の感触に、何も考えられないほど頭も心も溶かされていく……。
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