諦めて恋だと気づく




 テレビでは何年かぶりの雪で、と報道しているのを聞いた。が、朝起きて寒い眠いの私の耳には通り抜けていく。


 通学に時間がかかるから、起きるのも早い。うつらうつらとしながらご飯を食べたり、持ち物をチェックして家を出る。
 外は雪がちらつき、濡れないように傘をさしながら急いだ。

 私より先に乗っているあの彼は、もっと早起きなんだろう。

 電車はなんとか動いているらしい。ほっとしながら乗り込む。
 冬は遅れたり、または運休となってしまうことがあるから、どうなるかと思っていたのだが…なんとかなった。
 濡れた傘が邪魔にならないよう気を付けながら、席につく。

 彼を探してみる。
 今日は、いなかった。
 


「ちょっとしょんぼりするってこ、と、は!」
「だから、恋じゃないってば」



 寒さで鼻をすすりながら、にやにやしている美紗がいうであろう続きを先にいっておく。

 いたり、いなかったりしている学ランの彼は、休みなのか、または早い電車に乗っているのか、などなどいろいろと考えられた。が、だからってなんだというのか。

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