島…君をレンタルしたいカナ
(今日はもう帰ろう。明日は休みだし、職安に行く準備もしないといけないし)


履歴書を自分が勤めてる書店で購入した。
店長は私が仕事を探すんだと知り、「辞めるのなら早めに言ってね」と諭してきた。


「はーい」


そう返事はしたものの、実際に仕事にありつけるかどうかは不明。
今は来年度の新規採用者が決まり、中途採用なんて要らないよというオフィスが殆どだろうから。


加えて言うなら、私は特技も有益な資格も持ってない。
元気だけが取り柄で、健康だけが自慢だ。
多少パソコンは扱えるけど、それもごく一般的な程度だし。


履歴書に埋めれる文字の少なさを考えたら落ち込む。
大学の時と比べて増えたとしたら、本屋でパート勤務をしてきたというコトだけだ。


(……情けな…)


肩を落として、すっかり元気になったチョロのケージの前にしゃがみ込み、「またね」と小さく声をかけた。

背後にいる人のズボンのポケットから、映画の主題歌の音楽が流れてきたのはその時で、何だろう…と思い、クルッと後ろを振り返った。


接客中の彼がカンナさんを呼び、お客さんを頼むと言い残してカウンターを譲る。

私がいる奥の部屋には来ないで、この間カフェラテを淹れてきた部屋の方へと逃げて行った。



(アヤシイ…)


逃げる間際に私の居る場所を確認してなかった?
あそこに居るな…って、チラ見して行ったよね。

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