島…君をレンタルしたいカナ
四年の今では就職先も決まり、あくせくしなくても良くなったもんだから残りの大学生気分を満喫してる。

私と違って順風満帆な人生を歩んでる奴に、落ちこぼれの気持ちなんて分かるもんか。



「だけど、あんたは分かってね」


部屋のドアを開けて中へ入り、こたつ台の上にケージを置いて呟く。


シマリスはまだ巣箱から出てこない。
今のうちにケージ内に床材を敷いておかないと。


「えーと、新聞紙か雑誌」


それをシュレッダーにかけて敷いたらいいと教えられた。
それからトイレの中に入れる砂はレンタルじゃなくて購入した方がいいと言われて買った。


「床材もトイレの砂も毎日綺麗なものに交換してやって。リスは案外と綺麗好きだから」


店長さんの声を思い出してホワーンとしてくる頭を横に振る。


「早くしてやらないと寒いよね」


私の部屋には暖房器具といえばコタツかストーブくらいしかない。
巣箱にも床材を入れてと言われたし、その中で丸まって寝るからとも教えられた。


ホントはもっといろいろと詳しく知りたかった。
だけど店長さんは忙しくて、私以外にも相手をして欲しそうな人が沢山いてダメだった。


「見送っても貰えなかったし…まぁ仕方ないけど」


あの憂いを含んだ目で見送られたら嬉しかったな。
そしたら、お世話も頑張ろうと思えただろうに。


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