島…君をレンタルしたいカナ
「あ…いえ、何も。…そうですね。持って来るにはちょっと大きいから引き取りに来て頂けると助かります」


狼狽えるように少し仰け反り、次のペットレンタルをするのは自分が就職してからにしようと決めた。


「じゃあ、これから直ぐでもいい?今夜もまた雪になると言ってたし、店も早く閉めようかと思ってたところなんだ」


ついでに送って帰るよと言いだす彼に胸が弾んだ。

だけど昨日の車内での行動を思い出し、また同じように手を重ねてこられたらどうしようかと焦った。


「すみません。お願いします」


それでも断らずに応じると、彼はフッと笑い。


「オッケー、じゃあもう店じまいするか。…おーい、カンナー」


カンナと呼ぶ声に心臓がドキッとした。
カナと自分の名前を呼ばれたのかと思った。



「なぁに。お兄ちゃん」


店内で仕事をしてた女子がやって来る。
「お兄ちゃん?」と呟く私の声に振り向き、「妹」と親指で差した。


「妹さん…」


いつも元気のいい声で「いらっしゃいませ」を言ってた人の正体が分かり、ホッとする反面、急に気恥ずかしくなった。

そんな私の気持ちを知る由もない彼は、「もう店を閉めよう」と彼女に話した。


「今夜も雪だろう。それに、この人の家にシマリスのケージを取りに行かないといけないし」


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