江戸女と未来からの訪問者
「花子様、とんでもないご無礼を、つ、つつ、つりかわにつかまりまして」

 つり革に掴まるでない。せっかくの雰囲気が台無しであろう。

 そんなに這いつくばらんでよい。

 元気一杯殿は、私の命の恩人じゃ。

 おかげで目が覚めたわい。

 許してやろうぞ。許してやろうぞ。

「面をあげい」

「はい」

「今からサインを書く」

「ははー、ありがたき幸せであります!」

 そんなに頭を下げんでよい。

「あの……」

「何じゃ」

「江戸女と書いていただいてもよろしいでしょうか」

「よいぞ、よいぞ。喜んで江戸女と書くであるぞ」

「ははー、ありがたき幸せであります! 皆が喜びます!」

 そんなに頭を下げんでよい。

 すぐに書くであるぞ。

 待っておれ!
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